2016年10月25日火曜日

第16回Kids’ AU Camp in KOREA 無事終了!!

 さる10月1日~6日の6日間、16回目(韓国開催は3回目)となるKids’ AU Campが韓国ソウル市で開催されました。秋の澄み渡った青空の下で北東アジア5ヶ国から集まったこどもたちが出会いを楽しみました。
 


 こどもたちも初めの2日間は戸惑うことが多く交流もわずかだったように思いますが、3日目あたりから空気が変わりだし、ずいぶんお友達をつくりあった様子でした。日本チームは6名といちばん少数チームでしたが、折り紙作戦、茶道作戦、お菓子作戦などあの手この手で友達をゲットしていました。期間の後半は台風18号の影響が懸念されましたが、韓国南部の惨状に比べ、ソウル市はうそのように青空が広がっておりました。私としては、罹災された方々のご冥福やご回復を祈りつつも、天気に恵まれたことに感謝するという、複雑な思いですごしておりました。


 今回、韓国実行委員会は30人のスタッフ体制でキャンプを支え、北東アジア5ヶ国から65人のこどもたちと47人のリーダーを迎えて賑やかに実施することができました。16年間の参加者累計は、こども843人、スタッフ641人、計1484人となります。こんなにたくさんKids’ AU Campを楽しんだ仲間がいるとおもうと腹の底からうさしさがこみ上げてきます!アジアの平和、お互い大切にしあう関係づくりをテーマに「手弁当」で続けているこの事業は、小さくても具体的な一歩をあゆみ続けてきました。それを支えて頂いた多くのみなさまに感謝します。


 韓国での開催は2005年、2009年に続き3回目となります。Kids’ AU KOREA代表で韓国実行委員長の金ヒョンフンさんを先頭に現地ボランティアリーダーのみなさんが献身的に6日間を支えて頂きました。特に、Kids’ AU CampのOB・OGたちの活躍が印象的でした。30人中5人がOB・OGでしたが、みんな立派な大学生や社会人になっていました。みんな土日と平日の早朝・夕方以降の時間をフルに使って現場に入り、各国のこどもたちをサポートしてくれました。私のことも覚えていてくれました。日本のボランティアリーダーのサキも2008年のモンゴルキャンプに参加したOGです。こうして16年を経た今、こどもたちを支える立場になってKids‘ AU Campに参加してくれるユース層が出てきて心強く感じております。「


 キャンプ中に開かれた各国代表者会議において、2017年度はロシア開催が決まり、公式フラッグが韓国代表のキムさんからロシア代表のルダ先生に引き継がれました。2017年8月、私たちはバイカル湖のほとりでKids’ AU Campを開催します。3月くらいには募集が始まる予定なので、もし興味がある方は是非チェックして下さい。


 Kids’ AU KOREA代表で韓国実行委員長の金ヒョンフンさんを先頭に現地ボランティアリーダーが献身的に6日間を支えました。特に、Kids’ AU CampのOB・OGたちの活躍が印象的でした。30人中5人がOB・OGでしたが、みんな立派な大学生や社会人になっていました。土日と平日の早朝・夕方以降の時間をフルに使ってキャンプ現場に入り、各国のこどもたちをサポートしてくれました。日本からも2008年に参加したOGがスタッフとして加わってくれました。16年を経た今、どんどんOG.OBたちがKids‘ AU Campを支える時期がやってきました。本当に心強いです。それは単にKids’ AU Campの開催という意味だけでなく、私たち一代目が拓いてきた活動を受け渡す存在に育ってきたという思いがあります。「お互いの違いを豊かさとして捉える力」「同じ人間として大切にし合う心」を訴求してきたKids’ AU Campの志が世代を越えて脈々と繋がっていることに心から喜びを感じています。

Kids’ AU Camp 2015 in OKINAWAの開催報告

 2015年の夏、ちょうど私たちが沖縄で15回目のKids’ AU Campを楽しんでいた時期と重なるように、「平和学の父」ヨハン・ガルトゥング博士が日本、そして沖縄を訪問して「積極的平和」を実現するための提言をされました。その第一が「北東アジア共同体を構築すること」です。そして、沖縄県にそのオフィスを設置することを進言されました。それはおそらく、アジアの平和を語るとき、その歴史、文化、位置など、沖縄県がもっともふさわしい場所であると考えられているのだと思います。私もまったく同じ思いで沖縄でのKids’ AU Campを準備し、開催しました。
志を共にする島人・中根忍さんと気持ちを合わせ、Kids’ AU琉球を立ち上げ準備を進め、安田地区のみなさんのやさしく力強いご支援を得て、心行くまでキャンプを楽しむことができました。
 
 日本、韓国・朝鮮、中国、モンゴル、ロシア、そして台湾もふくめた北東アジア各国から141人が集い、安田地区の美ら海でカヌー体験、無人島でのシュノーケリングを楽しみ、地元の小学校校庭でキャンプしながら、運動会、料理コンテスト、パフォーマンス大会などの各種交流プログラムを楽しみました。キャンプ中は天気が良すぎるくらいで、モンゴルやロシアなど北の地域から参加したメンバーは暑くて大変でした。沖縄の歴史にも少しだけふれる機会をもとうと、ひめゆり平和祈念資料館や首里城、水族館なども見学しました。最終日には各国の代表たちが沖縄県庁を訪ねて知事への表敬訪問(代理:安慶田副知事)を行いKids’ AU Campの報告や平和への思いをお話ししました。また、今回は、沖縄と縁の深い台湾からもゲスト(学校関係者)を5名招待し、ネットワークを広げました。15回累計で1,376 名の北東アジア市民の心を繋ぐことができてよかったです。
●日本68人、●コリア(韓国・朝鮮)29人、●中国12人、●モンゴル14 人、●ロシア13人、●台湾5人(ゲスト) 合計141 人
 
 今回、本当に多くのみなさまにサポートして頂きましたが、ことに島内外の大学生たちの活躍は目を見張るものがありました。誇りある豊かな未来を築いていこうと頑張る若者たちの情熱と誠実さは間違いなく参加したアジアの子どもたちに伝わったと信じています。
 後援して頂いた、文部科学省、沖縄県、国頭村、やんばる地域活性化サポートセンター、日本万国博覧会記念基金、沖縄ツーリストはじめたくさんの個人、機関にあらためて感謝いたします。


 
 
 
 
 

 
 
 

 

2014年11月17日月曜日

Kids'AU Camp 2014を終えて

こんにちは。Kids'AU 代表のむさしです。

Kids’ AU Campは、その名の通り、アジアの子どもたちをつなげるキャンプです。アジアの子どもたちが国境を越えて出会い、同じ「人間」として心通わせ友達を作る場です。それは、平和な未来を拓くための土壌をつくるということです。

14年目(14回目)を迎えるKids’ AU Campは、念願だった中国で無事開催されました。日本で生まれたこの小さな国際交流活動が日本から韓国、モンゴル、ロシアと開催国を増やしてこられたのは、各国の仲間の努力にほかなりません。中国・内モンゴルで受け入れ準備を進めてくれたKids’ AU中国代表のハスゴアさんはじめ19名の現地スタッフの皆さんに心から感謝します。また、各国から参加した21名のスタッフ各位にあらためて敬意を表します。



201488日~12日の5日間の日程で行われたこのキャンプは、中国・内モンゴル自治区の草原に日本、韓国、中国、モンゴル、ロシアの5ヶ国から参加した子どもたち62人が集い、「同じ釜の飯」を食べ、枕をならべ、大自然の中で思いきり走り回って遊びました。年々子どもたちが積極的に関わりあう姿が目立つようになりました。リピーターが増えたり、OBOGがスタッフとして参加し始めたからかもしれません。キャンプの詳細は、是非写真や作文をご覧ください。

日本チームは13名の子どもと7名のスタッフが参加しました。フライトの関係で、日本チームと韓国チームは7日夜に北京で合流し、翌朝内モンゴルへ向かいました。また、日本チームは帰りも1日調整日が必要だったので、北京市内を見学するオプションプログラムを楽しみました。故宮周辺や歴史保存地区である前門大街の商店街を散策しました。中国の人たちは大変やさしく、地下鉄では場所を譲ってくれたりしました。

この14年間で北東アジア6ヶ国から704名の子どもたちと632名のスタッフ、合計1236名がKids’ AU Campに参加しました。私たちの歩みはとても小さいですが、「小さな一歩が未来を拓く」と信じて地道に取り組んできました。Kids’ AU Campのように北東アジア各国の市民が連携し、お互いの国を巡りながら交流活動を展開している例はほかに見つかりません。苦労も楽しみも共有できる仲間が国境を越えているというのはとてもうれしいですし、まさに私のプライドです。

私たちのこの小さな取り組みが、北東アジアの平和と発展にわずかでも寄与できることを信じて今後も地道に取り組んでまいります。そして、北東アジアがアジア全域の平和と発展を促すモデルとなっていくよう、一市民としてできることを続けていきたいと願います。



今回のキャンプ中に開催されたKids’ AU 各国代表者会議において、15回目となる来年は、日本・沖縄で開催することが決まりました。811日のファイナルパーティーの最後に、中国代表ハスゴアから日本チームにKids' AUフラッグの引き継ぎがなされました。

2015年のキャンプを現地で主管するのはKids' AU琉球支部(中根忍支部長・写真中央右)です。
3年ほど前に沖縄開催を構想し、「Kids’ AU琉球支部」を設置しました。いよいよ来年実施となります。2015年の夏、北東アジアの平和を沖縄(琉球)で育みます。台湾からの参加も検討されており、いまから楽しみです。Kids’ AU Campの今後に是非ご期待下さい。

最後に、Kids’ AU Campを支えていただいております全ての皆様にあらためて感謝申し上げます。

今後ともご指導、ご協力をよろしくお願い申し上げます。


村上忠明

2013年9月3日火曜日

ロシアキャンプで得たもの


こんにちは。広報かなです。
ロシアから帰国して、早1ヶ月が過ぎてしまいました。
時がすぎるのは本当に早いものですね…。
バイカル湖でキャーキャー騒いで遊んだことが、ついこの前のように思い出されるのに。

参加してくれた10人の日本のこどもたちは、今ごろどうしているでしょう。
夏休みの宿題に追われ、学校が始まり、ロシアに行ったことがまるで夢だったかのような錯覚をおぼえる子もいるかもしれません。

だけど、先日、代表むさしが参加者の1人Hに会った時、こんなことを言われたそうです。
H「ねえ、むさし、覚えてる?」
む「…なに?」
H「来年は高校生でKids'AUキャンプに行けないから、ジュニアリーダーの枠をつくるかもって話、ちゃんと叶えてね!」

ふとKids'AUのことを思い出したとき、こどもたちの心の中で、ロシアでの思い出があの時と同じようにキラキラ輝いてくれるといいなと願ってやみません。

♢  ♢  ♢

ということで、その思い出の一片を報告しますね。


まず驚いたのが、夜になっても明るいこと! この写真で夜9時過ぎです。
なのでキャンプ中も、夕飯を食べた後にもうひとプログラム♪という感じ。
ようやく辺りが暗闇にとけ込むのは、10時半頃でした。


そして印象的だったのが、緑の大地。
バイカル湖の東に面したブリヤート共和国は、本当に美しい草原&森林の国です。


短い夏を謳歌するように、ハチや蝶が飛び交い…

次はこっちの花にも… 

キャンプ場は、高山植物に似た可憐な花々に囲まれていました。


そして日本のこどもたちは
他国の遊びの輪に勇気を出して入って行ったら、
ルールがよく分からなくて戸惑ったり…

大縄跳びを一緒にやろうと思ったら、
他国の仲良しグループが入ってきてアウェイになったり…

なかなか勇気が出なくて寂しい思いをしたり…

それぞれにいろんな思いを抱きながら
最初の2~3日を過ごしていました。

そして、バイカル湖!

みんな、我を忘れてはしゃいだ後は…

なんだかスッキリ、清々しい笑顔に変わっていました。

その理由を、わたしはこんな風に考えています。
恐らく、「アジアに友達をつくらなきゃ」ではなく、
たとえ一緒に遊んでいなくても
同じ空間にいろんな人達がいると実感でき、
その空間を心地いいと思え、
喋れなくてもなんとなく仲間だという安心感がある…
そんな心の変化がこどもたちに起きたのではないかな?と。


 こっちでも同じように砂風呂ごっこ…

あちこちでこどもの笑顔がはじけていました。

その他、地元のこどもたちとの交流や…

各国混合チームでのスポーツ大会も。

そして皆が仲よくなってきた頃にお別れです…。

♢  ♢  ♢

今回、こどもたちと一緒にキャンプを楽しみながら、いろんなことを感じました。

「アジアにともだちをつくろう!」とわたしたちは言うけれど、「ともだち」というのはどの段階からを指すのでしょう。
メールや住所を交換したら? 一緒にバレーボールをしたら? 最後にお別れのハグをしたら? サインをもらったら?

こどもの時ほど、「ともだち」の基準は曖昧なのではないかと思います。
それはつまり、本当は「ともだち」なんて基準は必要ないということかもしれない。「ともだちか」「ともだちじゃないか」を考えることは実はナンセンスで、「ともだち」というカテゴリーをつくること自体、おかしなことかもしれないなと思うのです。

Kids'AUのキャンプでこどもたちが最終的に感じ取るのは、恐らく、いろんな人が雑多にいることの面白さではないでしょうか。
それを、もし「ともだちを1人でも多くつくらなきゃ!」ということに固執してしまったら、キャンプの思い出はきっとすごくつまらないものになる。たとえば、ともだちをゲットできたら成功、できなかったら失敗…なんて、そんな根性試しのようなキャンプはつまらないでしょう!

ということは、Kids'AUキャンプは「ともだちづくり」が目的の本質ではないということです。(それでも大人的には「アジアにともだちをつくろう!」と唱ってしまうのですが…^^;)

そう考えると、今までの私の個人的な経験にもつじつまが合います。
たとえばキャンプ最終日、こどもに「ともだちできた?」と聞くと、大抵の子は「できた!」と答えます。でも「どこの国の子?」と聞くと返事が少し曖昧になり、「どの子?」と聞くと更に返事が曖昧になる。それは恐らく嘘をついているのではなく、「できた!」と実感できるだけで十分なのです。

また、こんなこともよくあること。
引率のボランティアリーダーや、わたし自身も、こどもたちの様子を見ていてじれったさを感じることが度々あります。もっと自分から話しかければいいのに…、ほら、自分からもっと輪の中に入っていきなさい…、他国の子と交わる機会がもっと要るんじゃないかしら…等々。
でも、こちら側のそんな思いとは裏腹に、こどもたちは最終日に号泣して別れを惜しみ、「楽しかった!」「また行きたい!」と口を揃えて言うのです。

一体何が楽しかったのか。
きっとこどもたちは、大人が期待しているような成果を求めてなどいません。
もしくは、最初は気にしていたとしても、どこかのタイミングでそんなのどうでもよくなるのではないか…。ともだちができたかどうか?ということよりも、違う国の人のことを気にし合いながら遊んだということ自体が「楽しかった」のではないでしょうか。


キャンプが終わり、ロシアからモンゴルに戻るバスの中。
後部座席で騒いでいた日本のこどもたちのところに、モンゴルの女の子2人がやって来ました。片言の英語で話しかけられ、誰がカッコいいという話題で盛り上がり、最後には身近な話題を懸命に伝え合ってコミュニケーション。

言葉を超えた「つながり」が垣間みれた、微笑ましいひと時でした。



2013年8月13日火曜日

なぜ、私たちは向き合うのか。どこへ、私たちは向かおうとするのか ~13年目の夏~

2013年7月28日、約束の場所。
ロシア連邦ブリヤート共和国・バイカル湖畔のロッジ。
日本、韓国、中国、モンゴル、そしてロシア。北東アジア地域の5ヶ国62名のこどもたちとキャンプをサポートする50名のスタッフが各国から集った。
中国チームは1200㎞を越える列車の旅を経て。日本チームは思わぬアクシデントで1日遅れで。

昨年8月、モンゴルで開いた各国代表者会議で2013年のロシア開催を決定。
その後、Kids’AUロシアのルダ、ユリヤ、ナターシャたちが五里霧中、暗中模索の中、Kids’AUモンゴルの支援を受けながら諸準備を進め、見事に第13回Kids’Asian Union Camp in RUSSIAを実現させた。プログラム、食事、安全など、その心配りにロシアのスタッフたちの暖かな気持ちを感じた。9日間、現地の医師が寝食を共にしてくれたことは各国の引率責任者をどれほど安心させてくれただろうか。また、ロシア料理がこれほどおいしいものかと驚かされた。それは、決して豪華だという意味ではなく、郷土料理をベースに、12年間の経験から内容を吟味したメニューであった。
食べることは安全確保の第一であるから、本当にありがたかった。

フィールド、スタッフ、資金、招聘、協力者、安全、宿泊、飲食、プログラム、移動etc, 実に大変な作業をホスト国・ロシアが担った。そして、そのKids’AUロシアをKids’AU モンゴルのメンバーが協力にサポートしてくれた。

2001年からスタートしたKids’AU Campは日本、韓国、モンゴルの3ヶ国で開催してきたが、ロシアは4つ目の国。はじめての開催となった。
当初4年間は、日本に各国を招聘して実施してきたが、5年目の韓国開催を境に、日本・韓国・モンゴルの3ヶ国を舞台に開催されるようになった。
「いつかすべての国でKids’AU Campを開催したいね。」というのは、そのころから抱いていた私たち各国メンバーの共通の夢だった。今年、その夢が一歩前進したのだ。

「北東アジア地域」とは一般的に日本、韓国、北朝鮮、中国、モンゴル、ロシアの6ヶ国の主権国家を含む地域として認識されている。台湾やハワイを加える説もあるが、たいがいは、この6ヶ国をさしている。Kids’AU Campはこの6つの国のうち4つの国で開催されたことになる。
Kids’AU Campを始めた私自身、まるで人ごとのように驚いている。
残るは中国とD.P.R.Korea(北朝鮮)の2ヶ国。この2ヶ国で開催できれば北東アジアの主要国を一巡することになる。しかし、いくら民間レベルの活動といえども、国家の壁は高く、政治の淵は深い。気持ちはあっても手が届かないこともあるだろう。未来世代に夢を託すこともあるだろう。

私にとっては、この6ヶ国は「向こう三軒両隣」の御近所の国であり、いままでも、これからも、地球が壊れるほどの大変化がない限り、一緒に暮していく大事な「お隣さん」である。
しかし、夫婦や兄弟や親子や親戚がそうであるように、近ければ近いほど、良いところも悪いところも見えすぎて、関係が深いからこそ愛憎も深くなりがちである。
残念ながら、北東アジア地域の国際関係は良好ではない。各国の事情や関係国の思惑が複雑に絡み合いながら、緊張関係が続いている。

今後、国民国家の時代がどのように変化していくのか私にはわからない。しかし、はっきりわかっていることは、仲良くしたほうが楽しい、ということだ。
たとえ「壁」を取り払えずとも、できるだけ低くして交わり、違いを楽しみ、相互理解、相互承認、相互補完しながら今を生き、次代に希望を抱いていくことは、やろうと思えばできる。Kids’AU Campのように。

2001年から13年間、私たちは国境を越えて仲間であり続けている。そして、2020年までのシナリオを共有している。
6ヶ国のKids’AUメンバーたちは、絶望と憎悪とは真逆の地平に集っている。つまり、希望と和敬が私たち6ヶ国のメンバーをつなげているのだ。でなければ、Kids’AU Campが13年間も続いていることが説明できない。この事業は誰からの依頼でも、強制でもない。自分たちがやりたいから、大事だから取り組んでいる。そこには6ヶ国の仲間を貫く共通の「志」がたしかにあるのだ。

Kids’AUモンゴル代表のバットは、「僕は、Kids’AU Campを各国の仲間と一緒にやっていけることを自分の大切なプライドだと思っている。」 とむさしに語った。

7月30日午前11時。バイカル湖畔のロッジの食堂に5ヶ国のKids’AU代表らが集い、今回のロシアキャンプに関する諸問題の確認や検討、来年度以降の取り組みに関する協議が行われた。

2010年6月、下見を兼ねてバイカル湖に集った各国代表は、2020年までのキャンプ開催国を協議した。その際、2011年を日本、2012年をモンゴル、2013年をロシア、2014年を中国、2015年を日本
という案を共有したが、あらためて2014年についての開催国の検討が行われた。
写真はその時の会議の様子だ。日本、韓国、中国、ロシア、モンゴルの各国代表と幹部がそれぞれの意見を出し合った。一応、2014年は中国開催という案を共有しているが、実際に開催可能かどうか率直な話し合いがもたれた。

日本は自然学校、韓国は社会福祉法人、北朝鮮は朝鮮学校、モンゴルはJCI、ロシアは市立中学校というように各国のKids’AUはそれぞれ母体(ベース)をもっている。
しかし、中国は地方政府の公務員であるKids’AU中国代表のゴアがほとんど単独で活動しているのでホスト国として相当の苦労を覚悟しなければならない。

各国代表から率直な意見が出されたが、中でもロシア代表のルダは、今回、はじめてKids’AU Campの実施責任者として取り組んだ経験をもとに、「私たちも大変不安だったが、各国のみなさんのサポートをもらいながら、なんとか実現した。不安で大変だが、氷の海に飛び込む覚悟をもってチャレンジすれば必ずできる。頑張りましょう。」と激励の言葉をゴアへ送った。
Kids’AU日本代表のむさしは「無理することはない。時期を選ぶことも大事なことだ。」と発言した。モンゴル代表のバットは「重要なのは、ゴア自身がやりたいかどうかだ。ゴアがやりたいというなら、私は最大限サポートする。」と発言し、韓国代表の金さんも同様の意見であった。

そうした発言を聞いていたゴアは、しずかに立ち上がり、「来年は中国で開催します!組織をもたない自分にとって不安は大きいですが、組織作りもふくめ精一杯頑張りたい。氷の海に飛び込みます!みなさんのサポートをお願いします。」と決意表明した。
少し高揚していた面持ちのゴアは、各国メンバーからの敬意と協働を約束する拍手に微笑んだ。

こうして、2014年は中国・北京でKids’AU Campが開催されることが確定した。
中国開催が実現すれば、5つ目の国。北東アジア地域を一巡することになる。

2001年に「北東アジアの大地に100粒の平和の種をまこう!」というコンセプトを掲げて始まったKids’AU Campは、今回のロシアキャンプで642名のこどもたちが参加した。毎回50人程度の参加があれば2020年には1000名を超えることになる。

北東アジア地域に1000粒の平和の種が蒔かれたとき、時代はどのように変化しているのだろうか。今よりも国家間の緊張は高まっているのだろうか。
日本の平和主義は崩れているのだろうか?

未来はこどもたちのもの。私たち大人は、できうる限り、過去の失敗から学んだ智慧を伝えていかなければならないし、平和や希望を、具体的に示していかなくてはと思う。

たとえ国や民族、思想や信条、言語や習慣が違っても、ご飯を一緒においしく食べ、一緒に楽しく遊び、安心して一緒に寝ることができるんだという事実。
同じ人間としてまったく変わらないという事実。
国境を越えて手をつなぎ、未来のために一緒になって汗を流し、笑い合っていた大人たちがいるという事実が、子どもたちの心の中に平和や希望の具体像として残っていくことを私たちは願っているのだ。

                                              (代表むさし)























2013年6月9日日曜日

バイカル湖からの便り

つい先日、Kids'AUモンゴル代表のBat から、たくさんのバイカル写真が届きました。

ロシアのブリヤート共和国は、モンゴルの首都・ウランバートルから飛行機で1.5時間くらい(車だと12時間以上)のところにあります。
民族も、モンゴル系のブリヤート人。
言葉は違いますが、モンゴル人の中には学校でロシア語を勉強した人が結構いるので、ロシア語で会話できたりします。

それで、今年のロシアキャンプは、モンゴルの仲間達が全面的にバックアップしてくれているのです。

(お馴染みバブ@ウランウデ市で泊まるホテル前にて)

(ホテルはシンプルですね)

(なんと!バイカル湖にはまだ氷が…!)

(空も湖も、澄みすぎです…!Σ(-∀-;))

(ここがバイカル湖畔のキャンプ場)

(みんなで泊まれるロッジがあるんですね)

(雰囲気バツグンだぁ…)

バイカル湖は世界一深く、世界一透明度が高いといわれている湖です。
そして、1年の大半は氷に覆われているので、その美しい水に触れられるのは夏の数ヶ月間だけ。

Kids'AUロシア代表のルダは、その湖でこどもたちに是非泳いでほしい!と、観光シーズン真っ盛りのこの時期にキャンプ日程を定めました。
このことは、実はとってもスゴいことなんです。
なぜって、ロシアでもモンゴルでも、一番忙しい夏(活動期)に団体客を招くというのは、実はとてもとても大変なことだから。
(もちろん全員がボランティアなので尚更です!)

初めてロシアで開催するKids'AUキャンプ。
初めてのバイカル湖。
そして初めて、他国のスタッフがホスト国をガッチリ支え、助け合いながら進行するキャンプになるでしょう。

だからわたしたち日本スタッフも、今からワクワクドキドキしてるんですよ。
何か、きっと特別にステキなことが起きるに違いない…!ってね。


(彼らがロシアとモンゴルのコアメンバーです!)


そんな思いに満たされいるせいか、今朝、ロシア代表のルダが夢に出てきました。
彼女は時に穏やかで、時にものすごく快活な「ビッグママ」です。

きっとキャンプの準備に奔走しすぎて、思わず私の夢の中にまで飛んできちゃったんだね(笑)

そうやって、「6カ国のアジアのこどもが一緒に遊べるように」という思い1点だけで、一緒に走り回れる仲間がいることを誇りに思います。


(広報かな)